

弧状になった圧倒的な高さの断崖絶壁が5層に渡ってそそり立つ。「陸中の赤い壁」とも呼ばれる海岸景勝地「鵜の巣断崖」をご存知でしょうか?
リアス式海岸特有の複独特な海岸美、そして赤松の群生とエメラルドブルー海の色彩が調和した、岩手県屈指の絶景スポットなんです。
今回はそんな知る人ぞ知る鵜の巣断崖・展望台の見所やおすすめポイント、周辺の観光スポットについてご紹介していきます。
鵜の巣断崖は岩手県田野畑村の南沿岸部にあります。
国道45号線を青山方面から田野畑村方面に思案坂大橋を越えたところにある看板を左折して約10分で到着します。
または田野畑駅から車で25分ほどでアクセスできます。
駐車場は普通車30台が入るくらいのスペースがあり、無料で利用可能です。
駐車場から鵜の巣断崖の間には約500mの遊歩道があり、向かうまでの散歩道に赤松の海岸林で森林浴を楽しむことができます。
なお、この遊歩道は地面に間伐材を利用したウッドチップを敷き詰めており、ふかふかした歩き心地で足腰に優しい作りになっています。そのため小さなお子さんや高齢者の方、車椅子の利用者でも安心して歩行できる設計になっているんですね。
鵜の巣断崖の絶景ビュースポットは2つあり1つ目は遊歩道を抜けてすぐ後、2つ目はその側にありウッドステージの展望台になっています。
遊歩道を抜ければあっという間に鵜の巣断崖の壮大な景観が目の前に広がります。
まず目に飛び込んでくるのはその独特な地形。リアス式海岸特有のノコギリのようにえぐれた形の断崖が自然の力強さを物語っています。
高さ200mもの断崖絶壁が5層に折り重なる様はまるで巨大な屏風のようです。
岩肌には青々とした木々が生い茂り、マリンブルーの海とのコントラストが絶妙です。
秋頃になると紅葉シーズンを迎え、岩肌と赤く染まった木々の織り成す色彩美は筆舌に尽くしがたいほど。
展望台から断崖へと波が押しては返していく様子を眺めていると、まるで映画のワンシーンに入り込んでしまったかのような没入感が味わえます。
同じく人気観光地である「北山崎」よりも訪れる人が少ないため、より手付かずの自然を楽しみたいという方にもおすすめです。
「北山崎」は三陸のダイナミックな海岸線がつづく、鵜の巣断崖と並んで岩手県を代表する人気景勝地の一つです。
その魅力は何と言っても迫力満点の大断崖。四季折々の美しい自然の風景美を誇る北山崎は、日本交通公社の行った観光資源評価・海岸の部において最高評価である特A級の認定を受けました。
日本随一の景観美を見るために毎年多くの観光客が国内外から訪れています。
美しく柔らかな眺望の鵜の巣断崖に比べ、よりダイナミックで荒々しい印象を受けるのも北山崎の特徴です。
旅の中で2つの断崖を訪れて、両者の違いを自分の目で比べてみるのも面白そうですね。
迫力の景観を楽しんだ後、少しほっと一息つきたくなったら「道の駅たのはた 思惟の風」がおすすめ。鵜の巣断崖から国道45号線を経由して約30分ほどで到着します。
「道の駅たのはた 思惟の風」は2021年4月に新しくリニューアルオープンをしたばかりで、三陸沿岸の景色・文化・食材を日本や世界へ発信していく玄関口の役割を果たしています。
ここ思惟の風には田野畑村の豊かな自然が育んだ海・山の幸がたくさん取り揃えられています。
物販・産直コーナーはもちろん、施設内の「ふるさと食堂」では地元食材をふんだんに使ったグルメを楽しむことができます。
贅沢だけどどこかほっとする、そんな田野畑のあたたかい味をぜひ味わってみてください。
県道44号線を約40分ほど北上すると見えてくるのが「机浜番屋群」と呼ばれる観光施設です。
「番屋」と呼ばれる小さな小屋が並ぶこの一帯は、もともとは漁具の収納やワカメ・昆布などの乾燥作業上、そして漁期になると漁夫の寝泊り場として使われる漁場施設でした。
しかし、2011年に発生した東日本大震災による津波被害を受け机浜番屋群は流失してしまいました。
その後、この地域の再建を目指す地元漁師の方々とそれを応援する個人・行政が力を合わせ、2015年4月に漁業と観桜が融合した新型施設「番屋エコツーリズム」として生まれ変わったのです。
地元の文化や自然を生かした様々な体験ができ、中でも地元漁師による小型漁船を用いたスリル満点なクルージング「サッパ船アドベンチャーズ」は人気のアクティビティです。
他にも塩作り体験やトレッキングなど、田野畑村の雄大な自然とそこに生きる人々の生活が調和した独自の文化が体験できます。
「鵜の巣断崖」という名前は読んで字の通り、崖の中腹にウミウの営巣地があることに由来しています。
「鳥の巣」と聞くと、一般的に木の上や住居の軒先などを想像するのではないでしょうか?
これに対して、ウミウは岩礁の多い荒海や大洋に面する岩壁で生息し、繁殖するという性質を持ちます。
基本的には海に生息していますが、岐阜県長良川の鵜漁(鵜飼が鵜を操り魚を捉える漁法)に使われているのは、カワウではなく本種なんです。
なんと8m〜15mもの潜水能力があり、何度も潜水しながら魚を獲ることができます。
ウミウは年に一回、4月〜7月にかけて繁殖期を迎えます。
運が良ければ、春から初夏にかけて断崖上の展望台から100m以上もの断崖を悠々と舞うウミウの姿を見ることができるかも。
鵜の巣断崖の大きな特徴はギザギザとしたノコギリ形の海岸線。
岬と入り江が入り組んだ複雑な地形はどのようにして作られたのでしょうか。
三陸沿岸地域のように、海岸線が複雑に入り組んでいる地形のことを総称してリアス(式)海岸と呼びます。
リアス式海岸は海面が上昇や海岸付近の土地が沈降したことによって、河川などの侵食を受けた深いV字谷が発達している産地が海面に沈み込むことで形成されます。
また、これらの地域は漁業・養殖業が非常に盛んなことでも有名。
理由としてはこれらの地域は水深が深く、山から流れ落ちてくる栄養分のおかげでプランクトンが多く発生していることが考えられます。そのため、三陸沿岸は世界でも特に漁獲種の多い優良な漁場としてその名を轟かせています。
以上の特徴から、三陸地域の魚介類は地理的に恵まれた条件で育った品質の高いものが多いです。ぜひ三陸地域を訪れた際は地元海産物を使ったグルメや、お土産を購入してご自宅で海の幸をお楽しみください。
鵜の巣断崖は北山崎と並ぶ三陸の絶景断崖スポットではありますが、比較的観光客が少ないためその美しい景色を独り占めできる穴場スポットでもあります。
周辺には田野畑村の観光施設や道の駅もあるため、1日中遊びつくすことができるでしょう。
鵜の巣断崖・展望台で迫力あふれる自然のパワーを感じてみませんか?